菅政権になってから早速打ち出された案である、不妊治療の保険適用化。
少子化に歯止めを掛ける等の目的があるそうですが、果たして実現するのでしょうか?
結論から書くと、実現はすると思いますが、他の問題も整備していかないと、折角実現させても意味がなくなってしまうだろうなと予想しています。
安倍政権路線を踏襲する、と宣言した上での菅政権ですが、少なくともここまでの対応を見ていると、安倍政権時よりも、やる事が迅速(デジタル庁等)、情報発信時にはっきり言い切って発信しているという点で異なるのかなと感じています。
その様子を見ていると、表題の件も近々実現してくれるのでは?と期待しています。
(もし実現した場合は、やはり自分が不妊治療していた時期に既に保険適用化していて欲しかったと、必ず思うと思いますが、こればかりはしょうがないですね。)
実現すれば、、、
・高度生殖医療にかかる莫大な費用負担が大幅に減る
→積極的に薬を使用して採卵と胚移植をした場合、現在は一回当たり70-80万程掛かります。
・上記に付随して、お金がネックとなり不妊治療に踏み出せなかったカップルも、不妊治療が出来るようになる
等のメリットがありますが、これらのメリットがあれば不妊治療を受ける人が増えて、少子化に歯止めが掛かるというものでもない気がするのです。
不妊治療だけを考えれば、患者さん側の受診のハードルは下がるでしょう。
しかし、大きく、以下の疑問が残ります。
・患者さんが増えた場合に、医療機関はパンクせず回るの?
→保険適用されてない今ですら、長い待ち時間の所が多い事を考えると、何とか業務を回している感があります。
不妊治療の保険適用化と同時に、生殖医療に携わる医師や医療機関を増やす必要があるのでは?
・無事に妊娠出産した後の行政のフォローは?
→両親共働き家庭が多い中で、男性の育児参加が当たり前になる社会(家庭・会社含め)の潮流を作らないと、積極的に子どもを作る家庭は増えにくいのでは?
さらに、都市部ではまだまだ保育園に入園できない待機児童が多くいます。
また、現在は、親が本当に希望する復職時期にはほぼ職場復帰出来ません。(基本的には、保育園一斉入園時期の毎年4月だけが復職チャンスのパターン。なので、4-6月に産んで約1年の育休を取り、1歳になる手前ギリギリの4月に0歳児クラスで保育園入園して職場復帰したいという家庭が多い。とは言え、子どもを授かる時期は確実には選べないので必ずしも理想通りとはいかない。)
そんな状態なので、特に0-2歳児を対象にした保育の整備、保育士さんの待遇整備等も同時に進めるべきなのでは?
産む前の制度整備と、産んだ後の制度整備は両輪ということですね。
不妊治療の保険適用は本当に魅力的ですが、目的を考えれば、不妊治療の保険適用だけにフォーカスするのではなく、その周辺領域も、ぜひコツコツと整備や拡充を進めて欲しいところです。